Zemax で回折面をモデル化する方法


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概要 : この記事では以下の内容を取り上げています。
  • Zemax で回折面をモデル化する方法
  • キノフォームとバイナリ オプティクスの違い

著者 : Nam-Hyong Kim

公開日 : 2005 年 9 月 23 日

サンプル ファイル :

対象 : 回折光学エレメント


記事 : Zemax による回折のモデル化
ZEMAX Development Corporation は、Optics 1 社の Robert E. Fischer 氏からその著書『Optical System Design』に掲載されているグラフィックスの使用を許可いただいたこと、および原本のグラフィック ファイルを提供いただいたことに謝意を表します。

Zemax で扱う面の多くには、屈折力のほかに回折力を設定できます。回折力は、基板の屈折率や面のサグとは無関係であり、光線に位相変化を与える現象です。

Zemax では、すべての回折面で次の式に従って光線の進路が変化します。



m は回折次数、l は波長、T はグレーティングの周期 (線間隔 d の逆数) です。この方程式は、スネルの屈折の法則に、回折を表す光線の曲がりの項を付加したものです。
下の図は、屈折力のない回折面に法線方向から入射する光線 (sinq1 =0) の回折を示しています。

回折グレーティング面などの面は、一定間隔で 1 つの軸方向のグレーティング線を持ち、分光計で広く使用されています。コンピュータで回折面を生成する利点は、面全体にわたって空間的なグレーティングの周期を変更できることにあります。これにより、所要の条件で正確に回折力を追加できます。たとえば、以下の操作が可能です。
  • 線間隔が可変のグレーティング面を使用すると、場所によってグレーティングの周期が異なる面として、チャープ グレーティングをモデル化できます。
  • バイナリ 1 面を使用すると、x-y 多項式展開で変化するグレーティング周期とすることができます。
  • バイナリ 2 面を使用すると、回転対称多項式で変化するグレーティング周期とすることができます (収差補正に広く使用されています)。
  • ほとんど任意の多項式展開を使用してグレーティング間隔の変化を記述する多項式面が一定の範囲で存在します。
  • グリッド位相面を使用すると、{x,y} 点の任意の組み合わせによって、任意の点における位相の追加分を定義できます。
  • 適切な面タイプが Zemax に用意されていない場合、必要なプロファイルを記述したユーザー定義の面を作成できます。

これらのどの場合でも、回折によって導入された位相プロファイルの勾配によって光線の進路が変化します。したがって、この設計プロセスでは、まず必要な位相プロファイルを計算したうえで、その位相プロファイルを生成するために必要なグレーティング構造を計算します。



レンズ データ エディタで回折面ごとに回折次数を指定する必要があります。以下の図に示すように、複数のコンフィグレーションによって複数の回折次数を同時にモデル化できます。



上記の方程式によれば、回折角は、入射光が到達した位置の反復構造が持つ周期 (T) にのみ依存し、その特定周期範囲にある構造の形状には依存しません。面構造は回折効率に影響しますが、幾何光学による光線ではこのような面構造をモデル化できません。指定した回折次数に対する効率は 100% であると仮定します。つまり、回折面に入射したすべての光線が、指定次数の回折角で射出します。

回折次数の符号によって、光軸を基準とした回折角の符号が決まります。回折次数の符号規則は完全に任意です。Zemax で使用している規則では、回折次数が正数であれば、光軸を基準とした回折角も正数になります。

Zemax による回折面には屈折力と回折力を設定できます。回折力によって、面全体にわたり、マニュアルに記載された式に従う連続的な位相が発生します。位相が連続的であることから、回折構造の周期が無限に小さいか、少なくとも波長と比較してきわめて小さい理想的な回折光学エレメント (DOE) をこの回折力で表現できます。


キノフォームとバイナリ回折面

DOE によって最大限の回折効率を実現するには、波面の位相が、目的の回折次数で回折した波面とあらゆる場所で平行になるように、回折領域にある面のサグを作成します。図 13.3 (b) は、特定の次数に対する効率が最大になるようにブレーズ角を最適化した「ブレーズド」透過グレーティングです。


図 13.3 『Optical System Design』より抜粋

図 13.3 (b) に示す連続的な面プロファイルを持つ DOE はキノフォームと呼ばれることが普通です。サグを離散的なステップで近似する場合、フォトリソグラフィが使用されることが多いことから、一般にバイナリ オプティクスと呼ばれます (下の図を参照)。Zemax での回折面は、位相がどこでも連続的なので、真のバイナリ オプティクスよりもキノフォームに近い近似となっています。回折面によってモデル化した位相の近似にどのような面構造を使用するかは、ユーザー側で判断する必要があります。


図 13.6 『Optical System Design』より抜粋

次の図は、バイナリ面の理論効率をステップ数の関数として示しています。


図13.10 『Optical System Design』より抜粋


まとめと参考文献

この記事では、Zemax による回折面のモデル化について説明しました。これらをまとめると以下のようになります。
  • 修正した形式のスネルの法則により、回折面によって光線の進路変更が発生します。
  • 回折力で得られる位相は、面全体にわたって連続的です。
  • 複数のコンフィグレーションを使用すると、複数の回折次数を同時にモデル化できます。

参考文献
1.Robert E Fischer、Biljana Tadic-Galeb、Paul Yoder 共著『Optical System Design』


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