レイ エイミングの使用法


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概要 : この記事では以下の内容を取り上げています。
  • レイ エイミングの概要
  • 必要になる場面と使用方法
この記事には、サンプル レンズ ファイルを使用した例が付属しています。

著者 : Nam-Hyong Kim

公開日 : 2005 年 7 月 18 日

サンプル ファイル : 記事添付ファイル

対象 : 瞳の結像



レイ エイミングの概要

レイ エイミングは、Zemax の反復光線追跡アルゴリズムであり、物体を発する各光線から、特定の半径の絞り面を正確に満たすものを探し出します。物空間から見た絞りの像である瞳に大きな収差がある場合や、瞳にシフトやティルトが適用されている場合にのみ必要になることが普通です。レイ エイミングのオプションは、[システム] (System) → [全般] (General) → [レイ エイミング] (Ray Aiming) のメニューで指定します。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/36d3df5e-f3db-4224-b290-993a.gif

レイ エイミングを使用しないと、物体からの実光線は、物体から見た絞りの近軸像である近軸入射瞳に向かいます。入射瞳のサイズと位置は、データ一覧の全般のセクションに表示されます (メイン メニューの [レポート] (Report) → [データ一覧] (Prescription Data))。物体と絞り面の間に光学素子がない場合、またはそれらの面の間にあるレンズで発生する収差が無視できるほど小さい場合、実光線の高さと近軸マージナル光線の高さは瞳の面でほとんど同じになるので瞳収差は発生しません。そのような場合は、レイ エイミングは不要です。たとえ使用しても精度は向上せず、光線追跡の計算が遅くなるにすぎません。レイ エイミングは、必要な場面でのみ使用するようにします。


瞳収差図

無視できない瞳収差が光学系で発生しているかどうかを確認するには、[解析] (Analysis) → [収差図 (ファン)] (Fans) → [瞳収差] (Pupil Aberration) で瞳収差解析を実行します。経験則から、通常は最大瞳収差が数パーセントより大きい場合にレイ エイミングが必要になります。

下図は、瞳収差の著しい光学系の瞳収差プロットです。

レイ エイミングが無効な場合

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/864680d3-aa7a-480b-93ee-1a10.gif

レイ エイミングが有効な場合

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/d5a71a29-2753-4941-a832-2d1e.gif


瞳収差が中程度の例

Zemax/Samples/Sequential/Objectives フォルダのサンプル ファイル Double Gauss 28 degree field.zmx を開きます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/37b26e5d-5459-402a-920b-9114.gif

この光学系が、絞り半径を正確に 10 レンズ ユニットとしたカメラ レンズであるとします。この場合、システム アパチャーは絞り面の半径で定義できるので、レンズ データ エディタに記述した絞り面の半径の値でシステム アパチャーのサイズが決まります。絞りのサイズが既知の場合、これは適切な選択です。

システム アパチャーのタイプは [システム] (System) → [全般] (General) → [アパチャー] (Apertures) で定義できます。

システム アパチャーを [絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) に設定します。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/79869d2a-d18f-46ec-96cb-f531.gif

レンズ データ エディタで、絞り面の半径を手動で 10 レンズ ユニットに設定できます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/825fdc37-795d-4a5c-9cf4-c5e8.gif


瞳収差が中程度の例 (続き)

レイアウトの絞り面のエッジを拡大すると、マージナル光線が絞りのエッジの正確な位置に到達していないことがわかります。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/ed92dc8e-230e-4e26-9d3f-a1c8.gif

この原因は、レイ エイミングを使用していないので、物空間から見た絞りの近軸像である入射瞳の方向に、物空間からの光線が向かっていることにあります。入射瞳のサイズと位置を求める近軸計算では、物体から絞り面までの間にある光学系の屈折力のみが考慮され、収差の効果が加味されていません。光線追跡の際にシステム アパチャーを適切にサンプリングするには、正しい絞り座標に到達する光線のみを選択することが理想的です。たとえば、マージナル光線の定義上、それと絞り面との交差位置は絞りのエッジから離れた場所ではなく、正確に絞りのエッジ位置となる必要があります。

瞳収差プロットによると、レイ エイミングがオフの場合の瞳収差の最大値は 3% であり、レイ エイミングは不要であると考えられます。

レイ エイミングの適用が必ずしも必要ではなくても、光線追跡精度の向上と計算時間とのトレードオフを必ず検討する必要があります。
レイ エイミングによって光線追跡の所要時間は 2 ~ 8 倍ほど長くなることが普通です。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/a77b8554-f8e0-47a7-b71f-b8e6.gif

近軸のレイ エイミングを設定してレイアウトの変化を確認してみます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/51b7c1ca-3b44-4954-b262-7691.gif

レイ エイミングのアルゴリズムは、目的とする絞り面座標に到達する光線を物空間から反復計算によって探し出します。レイアウトでは、すべてのマージナル光線が正確に絞り面半径の位置で交差していることがわかります。収差はそのまま存在していますが、絞りをサンプリングする光線を選択する際にその効果が考慮されます。レイ エイミングは瞳収差を除去するものではなく、入力光線を選択する際に瞳収差が考慮されるようにするものです。


瞳収差が顕著な例

次の例は、レイ エイミングが必須となる場合です。付属のサンプル ファイル Ray Aiming sample 2.zip を開いて、レイ エイミングを無効にします。



面 4 より前の物空間からの光線はすべて近軸入射瞳の方向に向かっていることがわかります。データ一覧によると、入射瞳位置は面 1 の座標系にあることから、この例では面 1 の右 1.82915 レンズ ユニットの位置になります (このファイルではレンズ ユニットは mm です)。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/f6d31c8a-a3a6-45aa-88c1-662d.gif

絞り面の半径は、すべての視野からのすべての波長の実マージナル光線が絞りを通過できるように、レンズ データ エディタで自動的に設定されます。レイ エイミングが無効の場合、視野 3 からの光線は絞り面に到達することさえできません。その光線の入射角では、絞り面の前にあるすべての面を通過できないからです。

シーケンシャル光線追跡で光線がある面に到達するには、その前にあるすべての面を通過できる必要があります。
絞り面の半径で定義したアパチャー タイプを使用して絞りのサイズを明示的に指定していない限り、絞りを正確に満たす光線の方向を Zemax で設定するには、絞りのサイズを決定しておく必要があります (このファイルのシステム アパチャーは入射瞳径によるタイプです)。近軸レイ エイミングでは、光線が向かう絞りのサイズは、絞り面位置における近軸マージナル光線の高さで決まります。レイ エイミングを使用せずにこの値を求めるには、[解析] (Analysis) → [計算] (Calculation) → [光線追跡] (Ray Trace) から [光線追跡計算] (Ray Trace Calculation) を開きます。メニューの [設定] (Settings) をクリックし、視野を 1、瞳座標を Px=0、Py=1 に設定します。これは軸上マージナル光線の設定です。絞り位置における Y 方向高さの計算結果を見ると、近軸光線追跡では 0.424799、実光線追跡データでは 0.43225 になっています。
この実マージナル光線と近軸マージナル光線の高さの違いが、視野 2 でははるかに大きくなります。これは、光線追跡計算と上記の 2D レイアウトから明らかです。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/586e0b05-50f0-4a7b-afec-f83d.gif



瞳収差が顕著な例 (続き)

レイ エイミングを実光線タイプから近軸タイプに戻します。今回の光線追跡の計算結果によると、すべての視野とすべての波長で、絞り面における実マージナル光線と近軸マージナル光線の Y 座標の差は実質的にゼロです。

近軸レイ エイミング



前述のとおり、レイ エイミングを近軸タイプに設定すると、実マージナル光線は「近軸」の絞り面高さで絞り面と交差します。前記のダブル ガウスの例のように、実光線で満たす絞りのサイズをユーザー側で指定することが望まれる場合があります。実マージナル光線が絞り面と交差する位置を明示的に指定するには、レイ エイミングを有効にするほか、システム アパチャーのタイプを [絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) に設定し ([システム] (System) → [全般] (General) → [アパチャー] (Aperture))、レンズ データ エディタを使用して絞りの半径値を手動で入力します。

収差が中程度の光学系では、一般的に、近軸光線で決定した絞りのサイズは、実光線で決定したサイズとはわずかに異なります。近軸光線と実光線に対する絞り面高さの差は、その影響を考慮する必要がないほどに小さいことが普通です。なお、[システム] (System) → [全般] (General) → [レイ エイミング] (Ray Aiming) で「収差を考慮する」オプションを選択すると、絞りの高さの計算に近軸光線ではなく実光線が使用されます。しかし、そのオプションが必要になることは、ほとんどありません。実光線が向かう位置を明示的に設定するには、システム アパチャーのタイプとして [絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) を選択し、絞りのサイズを明示的に指定すればいいからです。当社の ZDC では、この機能が絶対に必要になることが明らかな状況を見いだしていません。もちろん、これはレイ エイミングの「収差を考慮する」オプションを必要とする光学系が存在しないという意味ではありません。その見地から、このオプションが現在も用意されています。「収差を考慮する」レイ エイミング オプションを使用する際は、事前にユーザー マニュアルを入念に検討してください。実光線タイプのレイ エイミングが、近軸タイプのレイ エイミングより優れた代替手法であるとは考えないでください。

デフォルトでは、[レイ エイミング キャッシュを使用] (Use Ray Aiming Cache) オプションがチェックされていて、[強力なレイ エイミング] (Robust Ray Aiming) オプションのチェックははずされています。
これらの設定の変更が必要になることはほとんどないので、デフォルト設定をそのまま使用するようにします。これらの設定の詳細は、マニュアルの第 6 章を参照してください。


ディセンタした絞り

入射瞳のサイズと位置を求める近軸光線の計算では、絞りを含む面のティルトやディセンタが無視されます。したがって、近軸入射瞳の頂点は必ず物体面のローカル Z 軸上にあります。絞り面が近軸入射瞳に対して著しくディセンタまたはティルトしていると、物体と絞りの間に光学素子がなくても、レイ エイミングが必要になる場合があります。次の図に例を示します。

レイ エイミングが無効な場合

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/266a1a3e-b273-409d-93ae-fe36.gif

近軸タイプのレイ エイミングの場合

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/3c2c4435-e978-413a-9348-41cb.gif

絞りが光軸 (物体面の Z 軸) に対してディセンタしている場合は、レイ エイミングを有効にします。


まとめと参考文献

この記事では、レイ エイミングの基本概念と、シーケンシャル Zemax での正しい使用方法を紹介しました。これらをまとめると以下のようになります。
  • レイ エイミングは必要なときにのみ使用するようにします。
  • レイ エイミングは瞳収差を除去するものではなく、入力光線を選択する際に瞳収差が考慮されるようにするものです。
  • ユーザー定義の絞りサイズを満たすように光線の方向を設定するには、レイ エイミングを有効にするとともに、システム アパチャー タイプとして [絞り面半径による定義] (Float By Stop Size) を使用します。
  • 絞りがディセンタまたはティルトしている光学系ではレイ エイミングが必要になる場合があります。


参考文献

1.Zemax ユーザー マニュアル

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