自由曲面による光学設計の方法


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概要 : この記事では、フリーフォーム Z オブジェクトを使用して「自由曲面」による光学設計を進める方法を解説します。この方法は、設計全体に適用できるほか、設計の各段階で次段階への着手点を生成する作業にも適用できます。ここでは、設計例として LED コリメータのライトパイプを取り上げます。

著者 : 
Mark Nicholson

公開日 : 
2016 年 8 月 1 日

サンプル ファイル : 
記事添付ファイル

対象 : 
オブジェクト



はじめに

OpticStudio では通常、面およびオブジェクトのパラメトリック モデルを使用して作業します。たとえば、曲率半径が決まれば、レンズ面上のどの点の位置も決まります。このようなモデルはコンパクトで最適化が容易です。

これに対し「自由曲面」は多くの場合、面上の複数の点で定義します。曲線のフィッティング ルーチンでこれらの点を何らかの関数にフィッティングし、その関数を使用して面上のあらゆる点で面が占める高さを定義します。つまり、面を規定する関数の係数を定義するのではなく、多項式の係数を導出する面上の点を定義します。

入力データのフィッティングに使用する関数として、3 次スプライン、ベジェ曲線、NURBS などの滑らかな関数を使用することが普通です。
フリーフォーム Z ノンシーケンシャル オブジェクトを形成するには、まず YZ 平面上の一連の点を通る 3 次スプライン曲線を描画します。続いて、その曲線を Z 軸を中心にスイープしてソリッド体積またはシェルが得られます。3 次スプラインは、曲線セグメントの区分的な連結で形成します。各セグメントの範囲では、3 次多項式で曲線を定義します。各セグメントを記述する多項式の係数は、定義したセグメント境界のサグ値から求めます。これらの係数は、定義済みの点を曲線が通り、1 次導関数と 2 次導関数の両方がセグメント境界で連続であるという境界条件によって決まります。

3 次スプラインでは、セグメント境界で連続な 3 次以上の導関数は実現できません。
そのため、スプラインの精度は制限され、高精度な (結像系の) 光学設計では有用性にも制限が発生します。面の屈折力など基本的な光学特性は 2 次導関数で決まり、コマ収差や球面収差などの基本的な収差は 3 次および 4 次の導関数で決まります。

当然のことながら、結像光学系の設計で収差の補正に高次の多項式が広く使用されている理由はこの点にあります。


一方で、スプライン形状では必要に応じてどこにでも「屈折力」を設定できるので、非結像系の設計ではきわめて効果的となることがあります。
以下のページでは、Osram 社製の LED と組み合わせるコリメータ光学系を設計します。フリーフォーム Z オブジェクトおよびそれに関連する FREZ 最適化オペランドを使用します。これら 2 つは組み合わせて使用します。最適化で FREZ オペランドを使用することで、フリーフォーム オブジェクトをその面上のあらゆる点で制御できるからです。この制御は、面を定義するデータが存在しない点でも可能です。


初期設計

ファイル starting point.zmx (記事添付ファイルに収録) には、発光ダイオード (LED) OSRAM LB_T67_C から、フリーフォーム Z オブジェクトで作成した幅 4 mm、長さ 40 mm の単純なライトパイプに光を入射する光学系が記述されています。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/79a7061a-8db9-4dee-a4ae-1971.jpg

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/61cd8e9d-320d-4f70-af27-a25c.jpg

ここでの目標は、この LED から平行光線としたビームを生成することです。Osram 社が提供している CAD オブジェクトおよび光源のデータ ファイルを使用して LED をモデル化します。この例では、100k 光線の光源ファイルを使用します。ここで使用している CAD オブジェクトは、光線追跡には影響を与えない、表示のみの目的で用意されているにすぎないので、ダウンロード サイズを削減するために他のサンプル ファイルでは割愛されています。

ライトパイプは、フリーフォーム Z オブジェクトでモデル化します。
このオブジェクトは複数の点で定義します。この点の数は 5 ~ 124 の範囲で選択できます。定義する点の数は必ず必要最小限として、設計の進捗に伴い、必要に応じて点を追加することをお勧めします。
その方法については、後ほど説明します。

ディテクタ オブジェクトでは、Z 位置および X 方向と Y 方向のアパチャー サイズにピックアップ ソルブを設定しています。これらのピックアップ ソルブによって、ディテクタはフリーフォーム Z オブジェクトの終端を基準とした位置に固定されます。
この機能は NSC エディタの重要な利点の 1 つであり、これによって複数のオブジェクト間の関係を容易に定義できます。

今回の設計の評価関数は単純で、おもに 3 つの部分からなります。
最初の部分は単にディテクタをクリアして光線を追跡します。
第 2 の部分は、光学系で目標とする光学性能を計算します。目標は 2 つあり、1 つは RMS. 角半径を最小にすること (最良のコリメート)、もう 1 つはディテクタ上の全パワーを最大にすることです。つまり、最良のコリメートと最大効率の両立を図ります。

第 3 の部分では FREZ オペランドを使用してライトパイプの形状を制約します。
ほとんどのパラメトリック オブジェクトでは、NPGT (Non-sequential Parameter Greater Than) オペランドと NPLT (Non-sequential Parameter Less Than) オペランドで各パラメータの上下限を定義することで、最適化を十分に制御できます。一方、自由曲面は定義されたデータ点へのフィッティングによって生成されることから、制御点から離れた場所ではフィッティングした面が本来の面から大きく逸脱する可能性があります。FREZ オペランドでは、指定した制御点だけでなく、面上のあらゆる点でオブジェクトの形状を制御できます。これにより、面を定義しているデータ間に複数の転換点 (「リンギング」) が発生することなく、安定した最適化が実現します。

フリーフォーム Z オブジェクトでは、曲線の全長にわたって最大 124 個の (y, z) データ点を定義でき、これらの点を等間隔で配置する必要もありません。
これは制御点を y 方向はもとより z 方向にも最適化できることを意味します。したがって、最も効果的な最適化が可能な位置に制御点を移動できます。円滑な最適化を実現するために、FREZ を使用して以下の値を制御します。
  • Y の最大値および最小値
  • Z の最大値 (定義上、Z の最小値は必ずゼロです)
  • Y および Z の最大増分および最小増分
  • 最大傾斜および最小傾斜
  • 単調偏差
  • オブジェクトの体積
この例では、FREZ オペランドを使用してパイプの全長を制限し、同時にパイプ径が過剰に大きい値や小さい値にならないようにしています。

初期設計の光学特性は次のとおりです。

- ピーク光度 = 0.48 lm/sr
- RMS. 角半径 = 49 度
- 受光全パワー = 0.99 lm


DLS 最適化

続いて減衰最小二乗法 (DLS 法) によりこの設計を最適化します。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/e8cc0e43-5463-40b4-8175-86f4.gif

評価関数による評価 1 回ごとに 100,000 本の光線を追跡します。デュアル クワッド コアを搭載したコンピュータの例では、この最適化が 20 分で完了し、以下の設計 (記事末尾に freeform_after_dls として掲載) が得られます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/dbc96b8c-42c1-47c3-9aa5-dfe8.jpg

その特性は、全パワーが 0.89 lm、ピーク光度が 4.2 lm/sr なので、初期設計のほぼ 10 倍明るくなっています。RMS 角半径は約 16° (最適化前は 49°) に向上しています。パイプの動径方向高さ (半径) は最も細い場所で 1.6 mm です。最初は等間隔に配置した 5 つのデータ点のうち、3 つが最初の凸部にあります。これらのデータ点は、光を LED から放射された時点で「整形」するために後方に移動しています。

この設計に今度はハンマー最適化を実行すると、下図の結果が得られます (freeform_after_dls_hammer)。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/30a7f2f3-2191-4f15-ba6f-e793.jpg

ハンマー最適化機能は自動的には終了せず、ユーザーが明示的に停止するまで永久に計算が継続します。今回の例では、何の操作もせずに数時間計算を継続しました。複合放物面集光器 (CPC) オブジェクトにきわめてよく似た形状にフリーフォーム オブジェクトが最適化されています。Zemax は回転対称の CPC オブジェクトおよび矩形 CPC オブジェクトをサポートしています。これらの純粋な CPC オブジェクトを使用した場合、今回最適化したフリーフォーム オブジェクトよりも性能が向上するか低下するかの確認は読者の宿題とします。

これは、パラメトリックではない自由曲面であっても、目的の課題で良好なフィッティングが得られるものであれば、パラメトリック形状の基礎となる傾向もあるということを示す良い例です。一般的に、フリーフォーム オブジェクトよりもパラメトリック オブジェクトの方が定義パラメータが少なくてすむことから、高速な最適化が可能です。

ハンマー最適化により、この設計の特性は、全パワーが 0.87 lm、ピーク光度は 27 lm/sr (初期設計の 50 倍以上)、RMS 角半径は 6°になりました。


OD 最適化

初期設計に戻り、今度は直交降下法 (OD 法) を使用して再度最適化します。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/1a9e6a5c-8d8b-4a2a-a49d-3569.gif

この設計は、これまでの 2 つと大きく異なります。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/fecaa347-6356-45a2-9ea4-c25a.jpg

自由曲面形状の最初に細くくびれた形状を使用することで、大きい角度を成す光は失われますが、残りのエネルギーを良好に平行光線とすることができます伝送できるパワーは 0.61 lm 足らずですが、ビームのピーク光度はほぼ 10 lm/sr に達し、RMS 角半径は 8°です。
この記事の末尾にファイル freeform_after_OD を添付しました。

直交降下法をローカル最適化機能として使用し、ハンマー最適化を実行すると、劇的に異なる設計結果が得られます。


http://forum.zemax.com/Uploads/Images/cc935bde-9d58-464d-a506-e735.jpg

この設計は全反射を一切使用せず、全面的に屈折のみに依存しています。
これは、2 つのレンズを使用した解があることを示唆するもので、その解には試してみる価値があります。この設計の特性として、全パワーに 0.99 lm、ピーク光度に 78 lm/sr (初期設計の 150 倍以上)、RMS 角半径に 4°が得られます。

これは、自由曲面オブジェクトのもう 1 つの重要な利点を示すものです。CPC オブジェクトを最適化して得られるものは、当然のことながら最適な形状の CPC オブジェクトに限られます。一方、自由曲面オブジェクトであれば、評価関数が最も低い値となるような、あらゆる形状とすることができます。そのようにして得られた形状は、それ自体で有用ですが、より効果的な他のオブジェクトの存在を示していることもあります。今回の例では、ライトパイプの代わりに 2 枚のレンズを使用した設計でどのような性能が得られるかを検討してみる価値があるといえます。


データ点の追加

この最後の設計には、詳しく注目すべき点がいくつかあります。光線と面が相互作用する点は数か所にすぎず、光線が面と交差していないところでは光線と面との間にある程度の距離があります。

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一般的に、最適化では面の「使用されていない」部分が必要以上に大きくなる傾向があります。それらの面の拡大を抑える制約が存在しないからです。不必要に大きな自由曲面オブジェクトで構成した設計にならないように、オブジェクト体積を最小限にする FREZ オペランドの使用をお勧めします。

また、このオブジェクトでは、全体を構成する 2 つの主要な体積を接続する「くびれ」の部分にデータ点が不足しているように見えます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/8718c530-914e-40af-b7ff-3519.jpg

設計で使用しているデータ点は 5 つにすぎません。それらの初期値は Z = 0、10、20、30、40 です。最適化の結果、これらはそれぞれ Z = 0、21.2、23.5、23.9、49.5 に移動しています。くびれ近辺の面をより滑らかにするために、データ点を多くする必要があることは明らかです。

データ点は、[点数] (# Of Points) パラメータの値を大きくすることで容易に追加できます。これによって、エディタに新しい点が追加されますが、データは Z が増加する方向へ順番に入力する必要があるので、データを手作業で並べ替える必要があります。より優れた方法が、ノンシーケンシャル コンポーネント エディタの [ツール] (Tools) メニューにあります。



(注意 : [フリーフォーム Z に点を挿入] (Insert Freeform Z Points) と [フリーフォーム Z の点を削除] (Delete Freeform Z Points) のメニュー項目は、エディタでフリーフォーム Z オブジェクトをクリックしておかないと使用できません。)このメニュー項目を選択すると、必要な新規データ点の Z 座標を入力するダイアログ ボックスが表示されます。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/1f053403-858c-41b4-b12a-13c5.gif

エディタの適切な場所に新しいデータ点が追加され、その Y 座標には既存の曲線上の値が設定されます。つまり、この段階では既存の設計は一切変化しません。あとは変数を設定して再度最適化を実行するだけです。

また、別のフリーフォーム Z オブジェクトなどの他のオブジェクトを今回のフリーフォーム Z の終端面に追加することで、さらに複雑なオブジェクトも作成できます。下図は、2 つの標準レンズ オブジェクトとフリーフォーム Z オブジェクトで形成した、かなり奇妙な外観のオブジェクトです。

http://forum.zemax.com/Uploads/Images/88495332-551a-4813-8aed-59e3.jpg

このファイルは、Freeform pipe with curved edges.zmx です。単一のアセンブリを実現するために、各オブジェクトが互いをどのように位置基準として参照し、ピックアップによって 3 つのオブジェクトの相対位置とエッジ厚を維持しているかを確認してください。さらに、オブジェクト 1 を移動すると、それに伴ってアセンブリ全体が一体となって移動することもわかります。


まとめ

この記事では、フリーフォーム Z オブジェクトによる設計方法の概要を説明しました。このオブジェクトでは Z 軸を中心とした回転対称の形状が得られ、ユーザーが指定した (z, y) のデータ点ペアに滑らかな曲線をフィッティングできます。最適化の際のフリーフォーム Z オブジェクトの制御には FREZ オペランドを使用する必要があり、ピックアップによって他のどのオブジェクトともリンクできます。



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